2025年4月7日から11日にかけて、東京大学でプラネタリーディフェンスに関連する探査と科学についての一連の国際会議が開催されました。Heraコミュニティ会議(7-8日)の開催に引き続いて、Apophis T-4会議(9-10日)およびRAMSESコミュニティ会議(11日)が開催され、宇宙科学の最新の進展について議論が行われました。
https://www.hera-apophis-ramses-tokyo.org/en-us/
Heraコミュニティ会議では、2025年3月の火星スイングバイ運用後のHera宇宙船の最新状況や運用、ペイロードの状況や観測結果に関する概要が共有されました。さらに、AFC、HyperScout-H、TIRI、Milani CubeSat、Juventas CubeSatなどのペイロードの最新情報が共有されました。岡田チーム長からは、火星スイングバイ運用でのTIRIによるDeimosと火星の観測成果および今後の観測運用計画案が報告されました。
図1:Heraコミュニティ会議の様子
Apophis T-4会議では、2029年4月13日に地球に接近遭遇する小惑星Apophisの軌道や物理的特性に関する最新の研究成果が発表されました。地上観測やデータ解析に関するワーキンググループが活発に議論されたほか、Apophisへの複数の探査ミッションについての発表と議論が行われました。
RAMSESコミュニティ会議では、ESAが主導するRAMSES探査機およびCubeSatのペイロードについての講演が行われました。主要ペイロードであるAFCのほか、TIRI、HAMLET、CHANCES、RPSなどの概要が紹介されました。また、近接遭遇時の地形・表面変化のモデリングや実験等に関するワーキンググループが発表を行いました。JAXAからは、豊田からRAMSESへのJAXAの貢献の全体像と薄膜軽量太陽電池パドルについて、嶌生からTIRIについて発表を行いました。
図2:RAMSESコミュニティ会議でのJAXAの発表
一週間続いた今回の会議には、世界中から100人を超える参加者が集まりました。参加者たちは、東京大学のLOC(Local Organizing Committee)のホスピタリティによって温かく迎えられ、会議は大変盛り上がりました。LOCのチームには、参加者が快適に過ごせるようさまざまなサポートを提供いただき、感謝いたします。
Hera探査機の次のマイルストーンは、2026年12月頃に予定されている小惑星Didymosへの到着です。一年後のApophis T-3に向けて、非常に良いチームワークを感じました。
2025年4月14日
Hera所内プロジェクトチーム
嶌生 有理